先年は、募金協力ありがとうございました。お蔭さまで「錦之助映画祭り」も開催までこぎつけることができました。新文芸坐のチラシも完成しましたので、早速お送りします。5部同封しますが、1部は携帯用、1部は保存用、あと残りの3部はお知り合いに差し上げてください。観客を一人でも多く増やしたいと思っていますので、ご協力お願いします。もっとたくさんの方に配っていただけるようでしたら、ご連絡ください。また、数部(数十部)お送りします。
それから、些少ですが、5,000円以上寄付してくださった方には、招待券を同封しますので、お使いください。券に満員の時には入場できないようなことが書いてありますが、その時はまたそれで、錦ちゃんファンとして「嬉しい悲鳴」でしょう。招待券は、ご自分でお使いになっても結構ですが、誰かお招きしたい方に差し上げてくださるとお客さんが一人増えるので有難く思います。(恋人でも誘っていただくと良いかと思いますが、今この手紙をお読みになっている方にそういう方はいらっしゃらないと思います。ご家族の方とどうぞ!)
ところで、寄付金によるニュープリント制作の件につきましては、1月に思わぬ嬉しい展開になりまして、その経緯をご説明しなければなりませんが、これについては私のブログ「錦之助ざんまい」に書いた記事のコピーを同封しますので、こちらをお読みください。
では、新文芸坐でお待ちしております。時代劇の至宝・萬屋錦之介十三回忌「錦之助映画祭り」、皆さんといっしょに盛り上げましょう。
連日の超満員を祈って…
平成21年2月10日
同封書面(「錦之助ざんまい」平成21年2月4日)
「錦之助映画ファンの会」に集まった寄付金で、昨年12月東映にニュープリント5本を発注したことはすでにお話しした。『お役者文七捕物暦・蜘蛛の巣屋敷』『独眼竜政宗』『浅間の暴れん坊』『源氏九郎颯爽記・白狐二刀流』『隠密七生記』である。が、1月の後半になって急に思わぬ展開になった。といってもイヤな事態が発生したのではなく、むしろ歓迎すべき方向に風向きが変わってきたのだ。なんと、東映ビデオが『隠密七生記』以外の4本をDVD化するため、35ミリフィルムのニュープリントを作るという話が持ち上がったのだ。
この話を東映営業部のSさんから聞いたとき、私は一瞬耳を疑った。えっ、どうして?という感じである。『浪花の恋の物語』もニュープリントを作るというのだ。『浪花の恋』は、京都・祇園会館のオープニングで有馬稲子さんをゲストに招くため、どうしようかと考えているところだった。東映に貸し出し用のフィルムがないことは分かっていたので、フィルムセンターが所有している『浪花の恋』のフィルムを借りる手続きをしようとまで考えていた。年が変わり「錦之助映画祭り」の開催年になって、この風の吹き回し、一体どうなっちゃっているんだろうと思う。
これでも私は人に言えないいろいろな努力をしてきたつもりである。お会いした人の数も数え切れないほどで、募金活動によってお金も集まり、東映からニュープリント5本の見積り書ももらい、発注して、さあいよいよ錦之助映画5作品がファンの力によって再び日の目を見ると思っていた矢先だった。だから、ちょっと拍子抜けしてしまった。
東映営業部のSさんから話を聞いた一週間後、私はどうしても信じられなくて、今度は営業部のチーフのKさんに電話を入れた。再確認するためだった。やはり、4作品は東映ビデオが3月初めまでにニュープリントを作ることに間違いないという話だった。4本分のお金はこちらが出さなくてもよくなったわけだ。これは喜ぶべきことで、集めたお金で別の作品を4本ニュープリントにすればよいことになった。副代表で側近のTさんにこの話をすると、気の早い彼女は、あれとあれとあれをやろうなんて、もう候補作を挙げている。私の努力が水の泡になった(ではなく報いられたというべきか)ことなど、気にもかけてくれない。
東映と交渉を始めたのは、昨年の7月末からだった。それ以前にも関係者にいろいろな根回しを行った。東映にニュープリント候補作約10本のネガの有無を調べてもらい、おおよその制作費を聞いて、段取りを立てた。5本なら何とかなる。頑張れば100万円くらいは寄付金を集められるだろう。それから募金活動を始めた。
東映にネガのチェックをしてもらった時に、がっかりすることもあった。絶対ニュープリントを作ろうと思っていた2作品、『一心太助・江戸の名物男』と『風と女と旅鴉』はネガがなく(可燃性だったので捨ててしまったらしい)、マスターポジ(いわゆる原版の保存用ポジフィルムで映画館には貸し出さない)しか残っていなかったのだ。その場合ニュープリントを作るには、マスターポジからネガを作り、さらにポジを作る作業をしなければならず、1本100万円以上費用がかかるというのだ。これでは、寄付金では作れない。それで泣く泣く見合わせることになってしまった。
それと、もう一つ。最初、ニュープリント予定作品には『剣は知っていた・紅顔無双流』が入っていた。錦之助の美剣士ものの中でもこれはファンの間で最も人気の高い映画である。『剣は知っていた』はネガがあるというので、仲間はみんな大喜びで、スクリーンで錦ちゃんの眉殿喬之介に会える日を、ことのほか楽しみにしていた。それが、しばらくたってネガの状態を調べてみると、フィルムがあちこち貼り付いてしまい、とてもポジに焼き直せない状態にあることが判明。糠喜びになってしまったのだ。そこで、『隠密七生記』に差し替えたわけである。この映画は、東千代之介が主演で、錦之助は準主演である。私は、「東千代之介を愛する会」の人たちとも仲が良く、前々から、たっての希望があって、この作品もニュープリントにしなければならないと思っていた。錦ちゃんファンの何人かにも意見を聞いたところ、この映画の錦ちゃんも最高にいいからそれでも構わないということになった。
これまでの経緯を長々と書いたが、そういうわけで、「錦之助映画ファンの会」に集まった寄付金で今回(3月の新文芸坐でのパート1)ニュープリントにするのは、あいにく『隠密七生記』1本になってしまった。余った寄付金は、「錦之助映画祭り」パート2、パート3で上映するニュープリントの制作に当てるつもりなので、寄付に協力いただいた方々は何卒ご理解いただきたい。
錦之助映画の中には、ニュープリントを作らなければ映画館のスクリーンで観られない作品がまだまだたくさんある。『ゆうれい船』前・後篇、『美男城』『恋風道中』『花と龍』(前篇)『隼人族の叛乱』『任侠清水港』『江戸っ子奉行・天下を斬る男』……。ちょっとマニアックな作品には、『青雲の鬼』『源義経』『紅顔の若武者・織田信長』『あばれ纏千両肌』『晴姿一番纏』『里見八犬伝』(五部作)等々。
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