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清水港の名物男 遠州森の石松
中村錦之助写真・遠州森の石松
1958年/東映京都/97分/カラー/シネスコ
監督:マキノ雅弘 原作:村上元三 脚本:観世光太 撮影:三村明 美術:川島泰三 音楽:鈴木静一/出演:丘さとみ、東千代之介、中原ひとみ、長谷川裕見子、岩井半四郎、山形勲、志村喬
『次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊』のリメイク。原題「石松開眼」。錦之助本人がこの作品の映画化を強く希望したという。『任侠清水港』に続く二度目の石松だが、その演技的成長には目をみはるものがある。映画はかくも夢の様に人を酔わせるものか。マキノ監督直伝の猿踊りは必見。
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵フィルム
隠密七生記
中村錦之助写真・隠密七生記
1958年/東映京都/97分/カラー/シネスコ
監督:松田定次 原作:吉川英治 脚本:結束信二 撮影:川崎新太郎 美術:川島泰三 音楽:深井史郎/出演:東千代之介、美空ひばり、桜町弘子、長谷川裕見子、月形龍之介、大河内傳次郎
尾張家に所蔵される、将軍後継者に関する前将軍家の御遺言状が、幕府隠密に奪われる。それを取り戻さんとする尾張藩と公儀の暗闘。友情に結ばれながら敵対関係の立場から刃を交える宿命の二人、椿源太郎と相楽三平。三平を慕う源太郎の妹・信乃。一枚の御遺言状を巡るドラマ。

★「錦之助映画ファンの会」による寄贈ニュープリント
一心太助 天下の一大事
中村錦之助写真・一心太助
1958年/東映京都/91分/カラー/シネスコ
監督:沢島忠 脚本:鷹沢和善 撮影:坪井誠 美術:鈴木孝俊 音楽:鈴木静一/出演:月形龍之介、中原ひとみ、丘さとみ、桜町弘子、星十郎、杉狂児、山形勲、田中春男、堺駿二、進藤英太郎
江戸っ子・錦之助の歯切れよい明るいキャラクターを活かして沢島忠監督がモダンな感性で演出した『一心太助』シリーズは、錦之助映画代表作の一つとなる。本篇は軽快なテンポとキレが益々冴えわたる注目の第二作。絶品・月形の大久保彦左衛門と錦之助の太助とのコンビネーションは見どころ。
浅間の暴れん坊
中村錦之助写真・浅間の暴れん坊
1958年/東映京都/82分/カラー/シネスコ
監督:河野寿一 脚本:村松道平 撮影:坪井誠 美術:桂長四郎 音楽:高橋半/出演:丘さとみ、長谷川裕見子、大川恵子、原健策、片岡栄二郎、三島雅夫、山形勲、夏川静江、薄田研二
旅人の伊太郎は恩を受けた親分への義理から、親分の女を連れて逃げた男を斬るが、実は女はその男の女房だった。後の錦之助の長谷川伸映画三部作につながる、哀愁をたたえた股旅もの。故郷の母親の夏川静江に恋人を預け、きっと帰ってくるからと言って去っていく伊太郎。劇中主題歌ディック・ミネ。
   
殿さま弥次喜多 捕物道中
中村錦之助写真・捕物道中
1959年/東映京都/85分/カラー/シネスコ
監督:沢島忠 脚本:笠原和夫、鷹沢和善 撮影:坪井誠 美術:井川徳道 音楽:鈴木静一/出演:中村賀津雄、桜町弘子、雪代敬子、中原ひとみ、丘さとみ、ダークダックス、薄田研二、月形龍之介
もしも尾州・紀州の殿様が弥次喜多と入れ替ったら……。錦之助・賀津雄兄弟のために企画されたコメディ・シリーズ第二作目は謎解きミステリー。バカボンの町内の警官の様に拳銃を撃ちまくる田舎侍・山形勲やら、あの新劇の大御所がと驚くズッコケ目明かし薄田研二やら、その道中の陽気な事……。
お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷
中村錦之助写真・蜘蛛の巣屋敷
1959年/東映京都/98分/カラー/シネスコ
監督:沢島忠 原作:横溝正史 脚本:比佐芳武 撮影:坪井誠 美術:井川徳道 音楽:鈴木静一/出演:三世中村時蔵、中村賀津雄、桜町弘子、花園ひろみ、中村歌昇、中村芝雀、片岡千恵蔵
錦之助をはじめ父の三世時蔵、長兄歌昇、次兄芝雀(四世時蔵)、弟の賀津雄、歌昇長男米吉(現歌六)が出演し、企画は三番目の兄の小川貴也で製作された、萬屋(当時播磨屋)一門の記念的映画。本作中に歌舞伎の名女形・三世時蔵の「女暫」が劇中劇として残され、映像資料としても貴重だ。
   
独眼竜政宗
中村錦之助写真・独眼竜政宗
1959年/東映京都/88分/カラー/シネスコ
監督:河野寿一 脚本:高岩肇 撮影:坪井誠 美術:鈴木孝俊 音楽:鈴木静一/出演:月形龍之介、佐久間良子、大川恵子、岡田英次、浪花千栄子、山形勲、佐々木孝丸、大河内傳次郎

群雄割拠の戦国時代における陸奥の覇者・伊達政宗の青春時代。秀吉の内意により放たれた刺客のために片眼を失った政宗は、自分の身分を知らぬ炭焼き老人のもとに身を寄せるうち、両眼のときには見えなかったものが見えてくる様になる。青年政宗が一国の城主として成長していく姿を描く。

水戸黄門 天下の副将軍
中村錦之助写真・水戸黄門
1959年/東映京都/94分/カラー/シネスコ
監督:松田定次 脚本:小国英雄 撮影:川崎新太郎 美術:鈴木孝俊 音楽:深井史郎/出演:月形龍之介、大川橋蔵、美空ひばり、東千代之介、里見浩太朗、丘さとみ、山形勲、大河内傳次郎
東映京都のトップに立つ松田定次監督による、月形と若手俳優が中心のセミオールスター作品。光圀は実子の頼常(錦之助)が乱心との噂を聞き高松藩へ向かうが、そこでは奸臣・佐伯将監が藩政をほしいままにしていた。錦之助の作り阿呆役は見どころ。かつて黄門を演じた大河内が番頭役で助演、柔らかな味を見せる。
   
風雲児 織田信長
中村錦之助写真・織田信長
1959年/東映京都/95分/カラー/シネスコ
監督:河野寿一 原作:山岡荘八 脚本:結束信二 撮影:坪井誠 美術:吉村晟 音楽:富永三郎/出演:香川京子、中村賀津雄、中村歌昇、戸上城太郎、柳永二郎、進藤英太郎、月形龍之介
『紅顔の若武者 織田信長』(1955年)のリメイク。前回は白黒スタンダードで、斎藤道三との会見がメイン。本作はカラーシネスコ版で、信長が桶狭間の合戦に勝利をおさめ凱旋するまでを描く。前作に続き月形の平手政秀の演技が絶品。錦之助の信長はハマリ役で、映画で三回、舞台でも数度演じている。
弥太郎笠
中村錦之助写真・弥太郎笠
1960年/東映京都/96分/白黒/シネスコ
監督:マキノ雅弘 原作:子母澤寛 脚本:観世光太、村松道平 撮影:三木滋人 美術:桂長四郎 音楽:鈴木静一/出演:丘さとみ、東千代之介、千秋実、日高澄子、田中春男、藤田進、大河内傳次郎
旅鴉のりゃんこの弥太郎は、松井田の虎太郎の娘お雪の為に一計を案じるが、かえって虎太郎は殺される。祭囃子の流れる中、復讐を誓う弥太郎。子母沢寛原作の股旅物。過去何度か映画化された中でも白眉となる傑作。情緒纏綿マキノ節。錦之助ファンの間では圧倒的支持率を保つ作品。
   
暴れん坊兄弟
中村錦之助写真・暴れん坊兄弟
1960年/東映京都/86分/カラー/シネスコ
監督:沢島忠 原作:山本周五郎 脚本:鷹沢和善 撮影:吉田貞次 美術:井川徳道 音楽:鈴木静一/出演:東千代之介、中村賀津雄、大川恵子、丘さとみ、星十郎、田中春男、山形勲、進藤英太郎
 おおらかな性格の兄の千代之介と、粗忽者の弟の賀津雄の兄弟が、藩の汚職を追及し不正を懲らす物語。昼行灯といわれる兄の本質を理解する、聡明で情ある藩主を錦之助が演じる。人間の真の幸福とは何か。原作者山本周五郎が褒めたという。今の時代にこそ見て欲しい、沢島忠監督の傑作。
親鸞
中村錦之助写真・親鸞
1960年/東映京都/147分/カラー/シネスコ
監督:田坂具隆 原作:吉川英治 脚本:成澤昌茂 撮影:坪井誠 美術:桂長四郎 音楽:伊福部昭/出演:中村賀津雄、吉川博子、千秋実、丘さとみ、木暮実千代、岡田英次、大河内傳次郎
高僧・親鸞の物語。単なる偉人伝とは違い、特別な人間でない、当たり前の一個の青年が人の子として苦悩する姿を描いた作品。戦前からの現代劇映画の名匠田坂具隆との出会いによって、時代劇スター錦之助は演技の幅を拡げる。彼は伊藤・内田・田坂の三巨匠を終生敬愛し続けたという。
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵フィルム
   
若き日の次郎長 東海の顔役
中村錦之助写真・東海の顔役
1960年/東映京都/88分/カラー/シネスコ
監督:マキノ雅弘 脚本:マキノ雅弘、笠原和夫、小野竜之助 撮影:坪井誠 美術:鈴木孝俊 音楽:鈴木静一/出演:丘さとみ、東千代之介、大川恵子、原健策、大河内傳次郎、月形龍之介
東映若手エースNo.1の錦之助が清水の次郎長役となる『若き日の次郎長』シリーズ第一作。気っぷがよくて度胸があって、年は若いが親分肌。気が短くて喧嘩が強い、暴れん坊の米屋の養子長五郎が、清水の侠客となるまで。若くて明るい、日なたを歩く錦ちゃんの次郎長。背景には日本一の富士の山。
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵フィルム
家光と彦左と一心太助
家光と彦左と一心太助
1961年/東映京都/93分/カラー/シネスコ
監督:沢島忠 脚本:小国英雄 撮影:坪井誠 美術:井川徳道 音楽:鈴木静一/出演:進藤英太郎、北沢典子、中村賀津雄、桜町弘子、木暮実千代、田中春男、平幹二朗、山形勲、薄田研二
三代将軍の座をめぐって弟忠長擁立派が暗躍。あわや天下争乱かという時、世継ぎの家光と魚屋太助が瓜二つだった事から……。「王子と乞食」時代劇版。従来の家光と太助の二役に加え、太助の家光と家光の太助、計四役を鮮やかに演じ分ける天才・錦之助。本作のみ大久保彦左衛門は進藤英太郎。
   
宮本武蔵
中村錦之助写真・宮本武蔵
1961年/東映京都/110分/カラー/シネスコ
監督:内田吐夢 原作:吉川英治 脚本:成沢昌茂、鈴木尚之 撮影:坪井誠 美術:鈴木孝俊 音楽:伊福部昭/出演:入江若葉、三國連太郎、浪花千栄子、木村功、丘さとみ、木暮実千代、風見章子、阿部九州男、加賀邦男、坂東簑助、花沢徳衛
吉川英治の国民的小説を、監督・巨匠内田吐夢、主演にエース錦之助を据え、東映が総力をあげて一年一作で完成させた全五部超大作の第一作。関ヶ原で一国一城の主の夢破れた十七歳のタケゾウは、生きる道を見いだせずにもがくが、沢庵の計らいによって学問で知性の目が開かれていく。
宮本武蔵 般若坂の決斗
中村錦之助写真・宮本武蔵
1962年/東映京都/107分/カラー/シネスコ
監督:内田吐夢 原作:吉川英治 脚本:内田吐夢、鈴木尚之 撮影:坪井誠 美術:鈴木孝俊 音楽:小杉太一郎/出演:入江若葉、三國連太郎、浪花千栄子、木村功、丘さとみ、木暮実千代、河原崎長一郎、江原真二郎、黒川弥太郎、宮口精二、月形龍之介
白鷺城の天守閣に修養して三年。タケゾウは名も宮本武蔵と改め、人生の再出発に剣を魂として己れを高める道を選ぶ。頼るべき何ものもなくただ一腰の剣に自己を託して人間社会へ踏み出した武蔵は、名門吉岡道場に挑むなど、武者修行を続ける。宝蔵院の阿巌との対決、般若野の決闘場面は圧巻。